蓮の部屋の前であたしは深く深呼吸をした。

よし!

コンコン

覚悟を決めてノックした。

「・・・何?」

「あたし。」

「・・・・・奈々?!」

「うん。開けて。」

「・・・やだ。」

「は?」


ガチャ

「嘘だよーん!」

扉からひよっこり出てきたのは[幼なじみの蓮]だった。

最近冷たかったのが嘘みたいに、元通り。

あたしが唖然としていると、蓮は落ち着いた声で「入れよ。」と言った。


部屋に入ってすぐに、あたしはいつもの定位置に座った。

テーブルの前にあるチェック柄の座椅子。

当たり前の行動に蓮は何も言わない。

やっぱりあたし達は幼なじみなんだ、そう改めて感じてしまった。