二人目が気絶し、残った一人を見ると、残りは怯えて逃げていってしまった。
まぁ、その方が俺としては好都合だった。
これ以上、今日と言う日に喧嘩に手を染めたくなかったからだ。
家に帰ると、姉貴がリビングで腰掛けていた。
「よぉ、また喧嘩してきたのかよ。」
「まぁな。」
「素っ気ねぇな。好きな子にでも振られてヤケ喧嘩か?」
振られたと言う言葉にムッとし、強気に言い返してやる。
「違ぇよ。疲れてるだけだし。」
両想いだったし。
「ふぅん。あ、そうそう、お前の好きな子って、もしかして211号室の子?」
「!?」
何で分かったんだよ姉貴。
「あたしのダチが、お前がよくその部屋から出入りしてる所見てて、で、あたしも気になって見に行ったわけ。」
「へー・・・。で、見た感想は。」
「そりゃあもう、お前の言ってた通り可愛い子だった。お前にゃもったいねぇよ。」
「うるせぇな。」
キッとして姉貴に言う。
「・・・でもあの子・・・」
「癌なんだろ。」
その言葉は、もう二度と聞きたくなかった。だから、自分から言う。