肩を組んだ男が「何しやがる」と言う目で見てくる中、俺は言った。
「安心しろよ。喧嘩なら相手してやっから。」
その言葉の中に、少し苛立ちも入れて喋る。
好きな奴の目の前で喧嘩売りやがって。
病院から離れ、近くの学校の体育館裏に入ると、喧嘩の準備が出来たような素振りを見せた。俺なりの「かかって来い」と言う合図だ。
案の定、3人まとめてかかってきた。
ツツジと両想いになった矢先に暴れるのは酷だが、逃げるのも嫌だ。
拳に力を入れて、先頭にいた男を標的にする。
普通より少し小柄な俺は、他よりも動きがすばしっこい。
一呼吸おくと、俺はしゃがみこんで男の一撃を避ける。
そして、思い切り鳩尾に蹴りを入れた。
クリティカルヒットしたのか、先頭の男が腹を抑えて苦しそうにうめいた。
二人目は俺と同じくらいの背丈で、素早い動きで仕掛けてきた。
だが、俺はひるまず相手の急所を狙う。
男が出してきた蹴りを、俺はまともに受けた。
少し横腹に痛みを感じるが、その後にニヤリとする。
「捕まえた。」
足を持ってぐいっと引っ張ってやると、男はバランスを崩して虚しく地面に倒れる。