「どうしたの?」
ツツジが聞いてきても、俺は「なんでもない」と答える。
俺自身、ツツジと両想いになったわけだし、まあいいかと言う気持ちになっていた。

このシャッターで、この後どんな目に遭うかなんて、まだ知らなかった。

・・・・・・・・・・・

暗くなり、病院を出た後で、上機嫌で自動ドアを潜り抜けると、前には3人、俺と同い年くらいの男達がいた。
あ・・・こいつ知ってる。俺は中心にいる一人に目をやった。
前に喧嘩して俺に負けた奴だ。

短い髪を金髪に染めていて、目つきのきつい奴だ。

この前負けたからって、人数増やして来んのかよ。
増えても同じだっての。
すぐさま喧嘩してやろうと思ったが、ハッとして後ろを見る。

窓からツツジが見ていた。
優しいツツジの事だから、口に出さなくても人が傷付くのを見るのはいやだろう。

今ならまだ間に合う。

そう思った俺は、いきなり男と肩を組んで、友達のような素振りを見せる。
窓に向かってニッと笑った。「友達だから心配すんな。」と言うように笑ってやると、ツツジはホッとしたように微笑んだ。

さてと、こっからが不良(俺達)の時間だ。