しぶしぶと部屋に戻ろうとするツツジを見て、とっさの判断で女の方を睨みつけた。
これで女が逃げていけば、父親も帰ると考えたからだ。

女は威嚇するようににらみ返してきたが、すぐに父親の手を引っ張って言った。

「誠(まこと)さん、この子怖い。また今度来ましょう。」
思ったとおり、父親はすぐにうなづき、その場から2人で去っていった。
ポカンとした様子で見ていたツツジは、すぐ安心した顔でこちらを向いた。

「ユウ凄い!」
ピョンピョン跳ねながら、ツツジが言った。

「睨んだだけで2人が逃げてくなんて・・・やっぱりユウは強いんだね!」
「お・・・おぅ・・・」

どう答えたらいいのか分からず、そのまま返事する。

「ありがとう!ほんと格好良かったぞ!」

いざそう言われると、意外と照れてしまう。
であって、ツツジの笑顔が凄く嬉しい。

「まぁ、あの2人がいっちまったから・・・取り合いず部屋に戻ろうぜ。」
笑顔でうなづくと、そそくさとベットに戻る。
ここからの眺めは意外にも綺麗で、つい長居してしまう。

「・・・ユウに会えて、よかった。」
「は?」
改まって言うので、俺はキョトンとする。