父親の方はと言うと、どこにでもいるような男。
普通のサラリーマンとうかがえた。
ツツジが小刻みに震えている。
このまま俺がこの場から去っていったら、きっとツツジは何かされる。
そんな気がしてならなかった。
「君は誰だね?」
しゃがれた声。
弘ほどではないが、妙な威圧感があって後を引きそうになる。
人を平気で殺してしまいそうな・・・そんな気迫。
後ずさりしそうになるが、ツツジの前で格好悪い姿は見せられない。
不良がサラリーマン男にビビッてどうすんだよ。
そう自分に言い聞かせ、睨み返すようにツツジに父親を見る。
「中山・・・優。」
「ツツジとはどういう関係かな?」
「・・・友達だよ。」
手に汗を握った。
自覚したくは無いが、見た目より憶病な俺は、こういう相手との会話が苦手だ。
友達、そう言ったものの、そう思っているのはツツジの方で、俺のほうは恋愛感情を持っている。そんな事、初対面の父親に言えるわけが無い。
「ツツジ、早く部屋に戻りなさい。」
「・・・・。」