「そ、んなの。
 早川さんに悪いじゃない。
 今、告白に対する返事をしたばっかりなんじゃないの?」

考える前に、つい、そんなことを言ってしまう――。私の馬鹿っ。

途端、すっと、美虎がその目を細くした。

「へぇ。
 盗み聞きでもしてたわけ?」

その声は、いつもの冷たいものに早変わりしてしまった。

「そ、そうじゃないわよ。
 ただ、早川さんがアンタに告白したって噂聞いてたし、たった今、泣いて屋上にあがるところ見かけたから――
 そうじゃないかなーって、予測してみただけで、別に。勘違いだったらゴメンナサイ」

しどろもどろの私に、美虎は、ふぅん、と言うと、何を思ったか極上の笑顔を浮かべて私を見つめた。


――な、何?
  心臓に悪いんですけど。