と、思ったのも束の間。

「一緒に教室に帰ろうか?」

油断していた私の耳に、何故だか急に甘いトーンで美虎が囁いてきた。

「う……っ」

私はとっさの対応が出来なくて、壊れかけたコンピュータみたいに固まってしまう。

美虎はその瞬間、殊更に綺麗な笑顔を浮かべて私を見つめていた。

――ように、見えた。

私の妄想か、気のせいでなければ。