一人になると、秋の風が急に冷たく感じてしまう。
私も慌てて残っているお弁当を食べて片付けた。とはいえ、昼休みはまだまだあるわけで――。

のんびりと、階段を下りる。

と、三階に差し掛かったとき、泣きながら階段を上っていく早川さんとすれ違った。彼女は、もちろん、顔に手を当てて上がっていたので、とっさに避けた私に気付く余地もなさそうだった。

――どうしたのかしら。

そう思って、脚を止めたその時。

「キリン、何やってんの?
 こんなところで」

背中から、不機嫌そうな声が降って来た。