「な、何よ――っ。
人のこと言える名前?
自分だってトラじゃんかっ。
だいたい、私たちなんて先日クラスメイトになったばっかりのいわば他人よ?
その質問にはもう少し丁寧に優しく答えてくれたっていいんじゃないの?」
私は稲葉 美虎(イナバ ヨシトラ)に向かって、思い切りそう言った。
途端、それまで貴公子然していた稲葉くんの瞳が、まるで獲物を捉えた肉食獣の色を帯びたものに染まっていった。
「面白いヤツだな、お前。
決めた――」
――思えば、あれが全てのきっかけだったんだ。
人のこと言える名前?
自分だってトラじゃんかっ。
だいたい、私たちなんて先日クラスメイトになったばっかりのいわば他人よ?
その質問にはもう少し丁寧に優しく答えてくれたっていいんじゃないの?」
私は稲葉 美虎(イナバ ヨシトラ)に向かって、思い切りそう言った。
途端、それまで貴公子然していた稲葉くんの瞳が、まるで獲物を捉えた肉食獣の色を帯びたものに染まっていった。
「面白いヤツだな、お前。
決めた――」
――思えば、あれが全てのきっかけだったんだ。