「隼人、こいつのどこが良い奴なんだよ。しかとしてんじゃねぇか。」
咎めるようなその声に我に返る。
「ちがうよ。玲は西園寺に見とれてたんだよ。な、玲?」
「や、なんでこいつが生徒会長なんだろうなって思って。」
「悪かったな、俺が生徒会長で。こっちだって好きでなったわけじゃねぇし。」
思わず言ってしまった言葉に後悔しても遅い。私が言い直す前に冷たくそう吐き捨てた西園寺は、立ち上がるとブレザーのポケットに手を突っ込んで再び教室を出ていってしまった。
「あーあ。」
その後ろ姿を見ながら隼人が溜め息をつく。
「ごめん。今のは俺の言い方が悪かったよな。」
「いや、なんか今日西園寺機嫌悪いからさ。多分生徒会の仕事が忙しいんだろ。」
「そっか。」
「生徒会ってさ、人気投票なんだ。拒否権なしだから、一年生の西園寺も断り切れなかったらしい。」
「人気投票?そんなので決まるんだな。」
なんか、呆れた。
やっぱり理事長が普通じゃなかったら、学園も普通じゃなくなるよな。