小さく呻くゼンの身体は力尽きたかのようにぐったりとしている。
「庇うなんて、愛だね。」
笑いながらそんな事を言う男に、頭が真っ白になっていく。身体がふわふわとして、この感じがとてつもなく嫌いで、だけど。
「…どうかしてる。」
「ああ、どうかしてるよ。自分の身を犠牲にするなんて、本当に頭が可笑しいんだろうな。」
ペンダントに夢中になってこんな男にやられるなんて、本当に。
復讐はまだ終わっていないのに。
「ゼン。苦しい?」
床に横になっているゼンは、眉間に皺を寄せて浅い呼吸を繰り返している。
私を庇って銃弾を受けたゼンの身体は弱まっていた。
「致命傷なんて…」
嘘でしょう?
その言葉は、ゼンの暖かい手に遮られた。
訓練を受けている彼だったらもっと上手い避け方くらい出来るはずだ。
「それくらい、必死だった。」
その小さな声を聞き逃すまいと、耳を彼の口元に近付ける。
「レイの為なら、死んでも良いと思った。」
私の髪を撫でるゼンに息を飲む。
だって、それじゃあまるで。
「愛の告白みたいだろ?」
力無く笑う彼に、一筋の涙が頬を伝った。