「可哀相に。何も知らずにJudgeで育ったなんて。」

馬鹿にしたような声。
がつんと頭を殴られたような衝撃に、眩暈がする。

「何故貴方の両親を殺す必要があったのかは知りませんが、ただひとつ。貴方はとても大切な事を忘れています。」

身体を隠したまま、ただひたすら前方を見つめる事しか出来ないでいる私の耳に飛び込んできたその名前に、

「天宮光(アマミヤミツ)。」

言葉を失った。


「天宮…ミツ」

呟いた声は、自分だけに聞こえるくらい小さなもの。
途端にフラッシュバックする光景に、激しい頭痛を覚えた。

頭にごりっと当てられた銃口に、しかし驚く事も怯む事もしなかった。


「ミツ。」

頭の中に突然現れた幼い男の子。
私と同じ金の髪に色素の薄い瞳。


あなたは、誰?












「自分の弟の存在を記憶から無くすなんて。最低ですね。」


一番言われたくない言葉に、静かに目を閉じた。