「この組織の人間だよな?」

かちゃりと銃の安全装置を外す音が自棄に響いた。

「…天宮ですね?」

返ってきたのは予想外の返事で、しかし銃を下ろすことはない。

「なんで。」

久々に聞いた天宮という言葉に懐かしさを感じ、それから沸き上がる疑問は後を絶たない。

何故。どうして。

「もうそろそろだと言われていました。」

私が銃を撃たないと判断したその男は、ゆっくりと口を開いた。

「なにが。」

「貴方が両親の復讐を果たしにくるという事が。」

「…」


言葉を無くした。


誰に。など、そんな事は聞かなくても分かる。しかし分かりたくはなかった。

「嘘だね。」

心臓が煩いくらいに脈打つのをごまかすように出た言葉は、あまりにも幼稚だった。


「天宮都月(アマミヤツヅキ)。」

「…」

「貴方の両親を殺すようにと、この組織に依頼をしたのは」

「…やめろ」

「Judgeのボスですよ。」

「うるさい!」


叫んだ途端にぱららら…と降り懸かる銃声の嵐。
いつの間にか男が手にしていた機関銃は、容赦なく攻撃をしてきた。

それを避けながら大きな机の後ろに隠れると、男の笑い声が聞こえてくる。