レイのハッキングの技術は誰もが認める程に素晴らしかった。

彼女はこの五年間で戦闘技術だけを学んだのではなかった。それと同じくらい…いや、それ以上に、脳まで鍛え上げた。







「レイは凄いんだね。」

訓練を終えて最近の日課になりつつある庭でのお喋りの時、ゼンが感心したようにそう話してきた。

「11歳でもうこの組織のナンバーに選ばれてるなんて、過去にもいない最年少だって知ってた?」

ゼンに悪気はないんだと思う。だけど、凄いとかそんな事を言われてもちっとも嬉しくない。

「そんな事を言うゼンもナンバーでしょ?」

ナンバーとはJudgeの中で能力の優れた人間の、上から10名に与えられる称号のようなものらしい。自分もいつの間にかファイブのポジションに選ばれていたけれど、ゼンはそれよりも上のスリーだ。

「でも、ゼンがスリーとか見えないよ。」

温厚そうな彼がナンバーだなんて、なんか想像出来ない。

だからきっと、戦闘能力とかじゃなくって頭脳の方で何か優れている部分があるんじゃないかと思う。