どれくらいそうしていたのだろうか。ベッドに座り、膝に顔を埋める。

僅か一日にして身体も心も限界だった。

瞳を閉じれば嫌でも思い出す。


初めて殺意の篭った目で睨まれた。初めてナイフの切っ先を向けられた。初めて、殺されるかと思った。

誰よりも幼い私が恰好の餌食になるのは当たり前で、でもそんな時思い出すのはいつだって、
「お母さん…」
ふわりと笑う母親の美しい顔だった。

死ねない。
大切な人の命を奪った奴らを消すまで、死んでたまるか。

尽き動かす衝動に逆らう必要などなかった。


窓から差し込む月明かりを睨みつけて、込み上げてくる何かを飲み込む。

自分が強くなるまで、泣かないと決めた。