「私が頼んだ事は直ぐに実行して下さい。まあ中には実行していた者も数名いたようですが。」

刀夜の瞳が真っ直ぐこちらに向けられているのが分かった。
その目に何を映し、何を感じているのか。
それがまるで分からない彼は、人形のようだと思った。







「失礼します。」

部屋に入ってきたのは、これがまたスーツに身を包んだ男。どうやらこの組織はスーツが主流らしい。

その男が持っていた黒い塊を床に置いた時、がしゃりと大きな音が響いた。

再び一列して出ていく男を刀夜が一切見る事はなかった。必要でない会話はしない彼等はまるでお互いを空気のように扱っているかのようにも見えて、違和感を覚えた。

「それは、」
そう言って刀夜が指を差したのは床に置かれた黒い塊。

「武器です。」


その言葉に何故か安堵を覚える。

中身が分からなく、いびつな形をしたそれが人体のどこかの部分だと言われたらどうしようかと思った。
刀夜なら平気でそういう事を言い兼ねない。


しかし、その考えはあながち外れてはいなかった。



「今からそれで殺し合いをして下さい。」




ひゅっと喉が鳴った。