「ほしくないわけじゃないけど」「でもあまりほしいって言わなくなった」「前の奥さんとは会ってるの?」「月2回子供とあわせる約束してるから」

「あってる」

「なんか結婚してても結婚してないみたいなんだよね」

「そっかいろいろあるんだね、独身の私にはわからないけど」「いいよ今度産婦人科行こうよ」「うん」

(ある日、産婦人科の前にて)

「用意できた?」「うん」「じゃあ行こう」「やっぱり怖いよ」「うん」

「怖いか・・・・・・」「うん怖い」「でも怖がってちゃだめじゃない」「そうね」

「そうだねじゃあ思い切って」「そう思い切って」

二人は元気よく産婦人科の玄関のドアを開けた

ジーツ、自動ドアがすべるようにあく

仲からは優しげな看護婦さんの声がする「こんにちは」「こんにちは」「初めてですか?」「初めてです」「ここに問診表があるから書いてください」「あ、はい」

「問診表ですね」「ここにアンケートがありますよね、これにすべて答えてください」

「わかりました」

美紀はすらすらとよどみなくペンを走らせた