「いづれの御時にか、女御、更衣あまたさぶらひたま・・・」
  (源氏物語・桐壺より)



相変わらず…ナルルの声音は心地いい眠りを誘う。


私は古典の教科書を手に持ちながら睡魔に誘われそうになっていた。



「おい!?加瀬!!」


「へっ!?」
私はナルルの怒声で睡魔が飛ばされた。



「寝るな!!何で…俺の授業になったらお前は寝るんだ!!」


「だって…ナルルの声って…心地よくて眠りに誘うんだもん」


「おい!?いつも言ってんだろ?俺はナルでルはひとつだって・・・」
ナルルは深い溜息を付いて、教卓に教科書を置いた。