「じゃ、今日はここまでね。文化祭が近いから、また明日も皆集まろうね!」


ナオがそう言うと、皆が帰り支度を始めた。
窓の外は暗かった。


「ミッキー。…送るよ。」


「…う、うん。ありがとう。」


妖精と、肩を並べて帰るのは、もう何回もあった筈なのに…何故か、緊張する。


「兄貴、見にくるって言ってんねん。ほんま、いらんわぁー。」


いつも通りに、いつも通りに…と、会話を進めていく。


「ブラザーも来るかな。…桜井先生連れて。」


…う!なんか、妖精…変?
そんな事、自分から言うなんて。


「…気持ち、伝えへんの?」


「…いいんだ。ブラザーに敵うわけないから。」


妖精はそう言って、少し前を歩いた。
なんだか、私は段々、ムカムカしてきた。




文化祭当日、普段着と変わらない服で舞台に上がる。


「“花子、僕の相方は君しかいないんだ。…コンビ組んでくれるよね?”」


序盤のシーン。
二人がコンビを組む所。


一番前の座席には、兄貴と、染五郎さんと、のり姉が一緒に座っていた。