「どした?」


考え事をしていたら、口を閉ざしていた。


「なんでもない!練習するから出ていってや!」


「なんやー。手伝ったろーかと思ったのに。」


「いらん!」


部屋から兄貴を追い出し、部屋に鍵を掛けた。
ベッドの上にうつ伏せになり、台本を読んでいた。


次の日、台本を持って、放課後の教室で練習。


「“待って、待ってくれ!花子!”」


妖精は台本の台詞を読む。
気持ちがこもっていて、上手い。


「“太郎は、漫才が好き?”」


「“分からない…もう、僕、分からないんだ…。もう、無理なんだよ…。”」


「“そんな人と、私はコンビなんか組めない…、さよなら。”」


淡々と、私と妖精は台詞を読んでいく。


「―で、そこで花子が立ち去る…と。…うん、完璧!」


ナオが台本を持って、納得していた。
どうやら、監督という役割分担についたらしい。


それよりも…妖精、気持ちこもってるよな…。


“のり姉が好き?”


“分からない…もう、僕、分からないんだ…”


…なんか、ピッタリだ。


…って、もう、知らん事にするって言ったやんか!
両頬を叩いて気合を入れた。