「こ、これを…私とヒカルが?」


「そう!ピッタリでしょ?」


「漫才師を目指す男女のラブストーリー?」


妖精がヒョコッと顔を出して、台本に書いてあるあらすじを読む。
そして、眉をしかめた。


「ふーん…面白そうだね。」


「は!?」


私は妖精の顔を見た。
妖精は、笑っていた。


「ミッキー、頑張ろうね!」


とびきりの笑顔で、妖精は言った。
そして、どこかに歩いていった。


「…アイツは何を考えてるんだか。」


私はひとつ、ため息を付いた。


私は家に帰るなり、部屋に入って台本に目を通した。


「ラブストーリー…か。」


私はそう呟くと、どこからか視線を感じた。


「なんや?お前のクラス演劇すんのか?」


兄貴は勝手に部屋に入ってきた。
…と、いうよりもさっきから覗いていた。


「そやねん。妖精と、漫才師目指すラブストーリーやねん。」


「妖精?…ああ、王子の事か。面白そうやん!」


「見にこんといてや。」


「いや、可愛い妹の晴れ舞台を見にいかん訳にはいかん!ソーメン誘って行くからな!」


ソーメン…染五郎さんと?
……のり姉も来るんだろうか?


…来る…よな。