校外学習から一週間。
妖精は一言も口を聞いてくれない。


妖精は二週間後に控えた文化祭の実行委員っていうのもあるんだけど…。


どうやら、避けているとしか…私には思えなかった。
だからといって、自分からも話しかけたりは、しなかった。


「どうしたんだ、お前ら。喧嘩したのか?」


夏男が心配そうに、こちらを見る。


喧嘩…なのかな?


「ふふーん?どうせ、色恋沙汰が関係してるんだよねー?」


桃子がキャッキャッと騒ぐ。


…しかも、否定は出来ない。


「別にええよ。あんな変態と話せなくてせいせいするし!」


私は強がっていたのかもしれない。
それを察したナオは、私の肩を叩いた。


「何があったか分からないけど、仲直り出来るといいね。」


私は小さく頷いた。


多分、ただ。妖精が…のり姉の事が好きだった事が、予想以上に驚いているのかも…。


知らないフリを、すれば良かったのかもしれない。


自分の事しか考えずに、妖精の事を、気遣ってあげられなかった罪悪感もある。
あの妖精が、あんな辛そうな顔をするなんて…。


「おい、ミッキー?」


夏男が私の顔を、心配そうに覗きこむ。


「…何かあったら言えよ?出来る限りの事は、するからさ」


夏男はそう言って、眉を下げた。
夏男は意外にも、情に熱いタイプなんだな。