「だって、あたしも昨日の夜聞いたばっかやってんもん」


ご飯を口に入れ、モゴモゴした口で言った。


「でも……そんなのって……うわああああああーーー!!」


長谷川は泣きながら家を飛び出して行った。


「なんやあいつ」


兄貴は長谷川のあとを見届けたあと、私の焼き鮭に、みそ汁のワカメをのせた。


「なにこれ?」


「ワカメ鮭や!」


…そのまんまやん。
でも、食べたら意外に美味かった。


「あとで長谷川に謝っとけよ」


食器をまとめて流し台に持って行った兄貴は私にそう言った。


「嫌や。めんどくさい。」


「あいつがめんどくさいんは、今に始まった事ちゃうやろ。」


…確かに。そう納得した。
私は納得しながら納豆をかき混ぜた。


「うわ、くっさ!こっち寄んな!!!」



兄貴は納豆のニオイが嫌い。


私は兄貴の鼻の頭に納豆を一粒乗せると、兄貴は大慌てで鼻を叩いた。
そのせいで兄貴の鼻の頭は赤くなっている。


めんどくさかった私は、長谷川には連絡しなかった。


高校は違うので、家が隣でも絶対会う訳でも無かった。