「美希ちゃん、誰か好きな人いるの!?」


顔を真っ赤にさせている私を見て桃子ちゃんがからかう。


「…秘密!」


そう言ってボールを投げたが、ボールはゴールに入らず、空しく弾むだけだった。


デートというものは、好意のある男女が二人っきりで遊びに行ったりする事…やんなあ?



「うっわ!お前このハゲ!!何しとんねん!!!」


兄貴の声で正気に戻る。
いつの間にか家に居て、ソファーに横たわってアイスを食べていた。


兄貴の脱ぎ散らかしたシャツにはアイスがベットリと付いている。
兄貴はそのシャツを掴み、アイスを私の顔になすりつけた。


「何すんねん!ベトベトやんか!!」


私はティッシュを手に取り、顔を拭いたが、まだベトベトする。


「さっきからボーっとして気持ち悪いなあ。何考えてんねん?」


何って…別に何もないけど。


「やらしい事考えとったんか!発情期やな!?」


「それは兄貴やろ!メイドのエロビデオとか買ってんちゃうで!!」


私はティッシュの箱を兄貴に投げつけ、箱は兄貴の顔に命中する。


「お前、メイドを馬鹿にすんな!!萌えやぞ、萌え!!!」


兄貴はティッシュを持って自分の部屋に戻って行った。


とにかく、お互い…どっちか片方が好意を持ってないと、デートとは言わない。


「うん。そうゆうことにしよう。」


一人で納得する。
そのままリビングのソファーで寝てしまった。