「…まあ、今日の一、二時間目は集会があるから、それに行こうじゃないか!」


と、妖精は手を叩いて皆を廊下に出した。


「ミッキー、力持ちなんだね」


妖精が体育館に向かう間、私が破壊したシャーペンを手に取って眺めていた。


「てゆうか、あんた…ほんまに染五郎さんの弟なん?」


「なんでだい?」


なんで…って、だって…。


「似てないって?」


…まあ、そういう事やわな。私は頷く。


「兄弟って、似てるとは限らないじゃないか!」


「そう?…そやな、私も兄貴と似てへんし」


「ミッキーにもブラザーがいるのかい?」


体育館に着き、妖精と一緒に座る。
私と妖精は集会が始まっても、コソコソと話していた。


「あ、ほら。ミッキー!ブラザー出てきたよ!」


舞台で何かしら話しているのは、染五郎さんだった。


「うわ~…遠くからでもかっこいい…。」


私がそう呟き、妖精は笑う。
私はハッとし、妖精に肝心な事を聞くのを忘れていた。


「そや!染五郎さんって彼女おらんの?」


私がそう言うと、妖精は少し考えこんだ。


「いや…そこまでは…。」


そっか、そーだよね…。
兄弟だからって、そこまで知ってるわけないか。


私は頷くと、妖精はこう言った。


「ねえ、ミッキー。協力してあげなくもないよ?」


妖精はそう言ってキラリと目を光らせた。
…コイツ、何か企んでる?


その間も、染五郎さんは淡々と喋っていた。