「昨日の転校生じゃない。どう?学校楽しい?」


校長はにこやかにそう話すが、私の返事は


「いいえ」


だった。私はその場を離れようと、さっさと下駄箱に向かう事にした。


「ちょっと待って」


誰かに呼び止められ、振り向くと、そこには爽やかなお兄さんが立っていた。


「足跡付いてるよ」


そのお兄さんは、背中を掃ってくれていた
。足跡といっても、砂だったので、掃えば落ちた。


「あ、すみません」


その人はニコリと微笑んだ。


「君が桜井美希ちゃんだね?」


「はい、そうですが…」


妖精は馬から降り、私とその人のもとへ近づいてきた。


「ブラザー!何をしているんだい?」


…ブラザー?
妖精の知り合い?


「あ、紹介が遅れたね。僕は生徒会長の岩松染五郎(いわまつ そめごろう)。この岩松光太の兄です。」


……兄?
いかにも真面目そうな感じだけど…。


妖精とはエライ違いだ。


でも、この人…どっかで見た事ある様な…?
私はそう思ったが、思い出せずに首を傾げた。


「あ、あの、どこかでお会いしませんでした?」


私は思い出せなかったので、本人に聞いてみた。