「俺が今日からキミの担任になる、原田則夫(はらだ のりお)です。分からない事があったら何でも聞いていいよ!」


「は…はあ。」


この人の迫力に押され、後ずさりをしてしまう。
後から来た兄貴の担任の先生はマトモそうな人だった。


羨ましい…それが心境だった。


「ここが、キミのクラスになる1-Aだ。…まあ、問題児もいるが、相手にしないのが一番だから、それ覚えとくように。」


「はい…」


問題児…ああ、不良ってこと?
メンチきられない様に気をつけなきゃ!


私の脳内では『何見とんのじゃ』と、机に足を乗せて偉そうにしているリーゼントの男子が出来上がっていた。


ちなみにここは東京。関西弁でメンチはきらないだろうと、すぐに脳内を修正した。





「はい!皆静かにー!」


原田先生が教卓に出席簿を叩きつける。
皆が少し静かになり、こちらを見た。


う…見られてる…


転校生だと、言わなくても皆、分かっただろう。
人前は苦手なので、あまり注目は浴びたくない。


一刻もはやく、この状態から脱出したいものだ。


「転校生の、桜井美希さんだ。大阪から来て、この辺の事はまだ分からないはずだ。皆、仲良くしろよー」


皆が、バラバラに返事をする。