「俺、長谷川。キミは?」


「岩松光太。ヒカルって呼んでくれるかい?」


「ヒカルやな、了解。俺は長谷川でええわ。皆そう呼んでたから。」


「そうかい、ミッキーもかい?」


…私に振るな!


「美希もやな。てか、昔からずっとやな!」


「…昔?付き合いが長いのかい?」


妖精は少し眉をピクッとさせて、長谷川を見た。


「親同士が友達で、産まれた頃から一緒やねん。いわゆる幼なじみってやつや。」


「幼なじみ…」


「ま、そんなワケでよろしく!」


どんなワケだ。


妖精と長谷川が握手しているのを、ただ見ていた。
朝のHRが終わると、私は長谷川の席に向かった。


「なんで、言わんかったん?」


私がそう言うと、長谷川は笑う。


「転校の事?やっぱ若やんから聞いてない?」


“若やん”とは、若也、私の兄貴の事。


…兄貴、黙ってやがったな。