「ミッキー!はやく、はやく!!」


イルミネーションが綺麗な並木道を歩く。


写メを撮ったり、はしゃいだりしていたら、すぐに通り抜けてしまった。


近くに大きなツリーがあったので、そこを見に。
ツリーを眺めていると、しばらくして、妖精はこちらを向いた。


「ミッキー。」


「ん?」


「あのさ…、ありがとう。」


「え、私なんもしてないで!?」


私がそう言うと、妖精は笑った。


「ずっと、側にいてくれてありがとう。ミッキーがいてくれたから、僕は桜井先生に想いを伝える事が出来た。」


右側の手が、暖かい。
…妖精の、手だ。


「ミッキーの、おかげだよ。」


真面目にそう言われると、照れる。私は顔を手で隠して、


「…どういたしまして。」


とだけ、言った。


ずっと、ドキドキと、胸が鳴っていた。


モヤモヤした気持ちは消えていて、ずっとドキドキと鳴っていた。


きっと、私はのり姉に嫉妬していたんだろう。
何故か、認めたくなかったけど、この胸から鳴る音に嘘は無い。


繋がれた手を、ギュッと握って、顔が熱くなる。


「よし、ミッキー!ご飯食べに行こう!!」


妖精は、私の手を引いて、近くのファミレスに向かった。


歩く妖精の後ろ姿を見て、想う。


私は…妖精が、好きだ。