「僕の気持ちを真剣に受け止めて、正直に話してくれて。僕は桜井先生を好きになっていなければ、ミッキーにも興味をしめさなかったと思う。そう思うと、感謝の気持ちでいっぱいなんだ。……ありがとう。」


妖精は、笑顔でそう言った。


「私こそ…ありがとう。」


のり姉はそう言って少し笑った。


私が心配そうに妖精を見ていると、それに妖精が気付いて、


「心配しないで。もう、大丈夫だから」


そう言って、肩をポン…とたたいた。


「ちゃんと、兄貴と話合ってね。」


「うん、光太くん…ありがと。」


「お礼を言うのは僕の方だよ。…じゃ、風邪ひくから、家の中入ってね。」


「…分かった。」


のり姉は妖精と私に手を振って、ドアを閉めた。


ドアが閉まり、妖精は無言のまま、そこに立ち止まる。


…かと思ったら、いきなり歩き出し、マンションを出た。
雪が降っているのに、わざわざ外に出て、ペタン、と座りこんだ。


「………僕、ちゃんと言えた?」


さっきと打って変わってマヌケ面した妖精がそこにいた。


緊張が溶けたのだろう。


「うん。大丈夫!……頑張ったね」



私は笑ってそう言うと、妖精はその場で崩れ落ちて、仰向けに寝転んだ。