気付いたことがあって、亜海が最近リップグロスの色を変えたり香水を変えたりしてる。


もう三年目になるとこの理由も分かってきて、彼氏が変わると外見も少しずつ変わる。



ノートのコピーをファイルにしまいながら、さりげなく聞いてみる。


「彼氏?最近出来たんだ。とにかく格好良くて、別れたくないって初めて思ったかも」


話を聞いていくと珍しく自分から告白したみたいで、亜海のストライクらしい。


「今度絶対紹介する。ルイに自慢したいくらい、めちゃくちゃイケメンなんだ」



ノロけ話を聞きながら階段を降りて玄関に向かうけど、いまだに亜海の彼氏自慢は終わらない。



亜海の恋の履歴書は、恥じることなく埋まっててわたしのとは正反対。


「ルイも恋しなよ。恋の履歴書、埋まらないうちに女子高生終わるよ」


「恋出来ないじゃなくて、恋しないんだもん」


「素直じゃないな、ルイは。本当は寂しいくせに」



“馬鹿”って叫びながら、亜海を置いてバイトへ急ぐ。亜海の笑い声に背中を押されて、バイトまで早歩き。