「ルイ、大丈夫なの?」


バイトと勉強を両立出来るわけもなく、成績が落ちる一方。


高校入学と同時に仲良くなった亜海に心配されて、ノートのコピーをたくさんもらった。


「亜海、本当に助かる。さすが優等生は違うな」



一見頭が良く見えない亜海は、でっかなウサギのストラップを携帯に下げて、持ってるものは全てフリル付き。


もちろん男の子のウケも良くて、元彼の数を言うならキリがないくらい。



クラスも三年間ずっと一緒で、喧嘩したことは一度もない。



「進路どうするの?ルイは家庭科得意だし、やっぱり製菓系?」


亜海は全く家庭科が出来なくて、バレンタインが近付くと材料を渡されてわたしが亜海の彼氏のために作る。


わたしのお菓子を作る腕前は友達全員が認めるくらいで、進学先も製菓系だと思われてる。



「でも趣味は仕事に出来ないよ。成績悪いし、親に進学したいって言えない」



高校三年生、そして受験生。もう進路が定まってるはずなのに、わたしはまだなんだ。


親にも製菓系の専門学校に行きたいって意思表示も出来ないまま、他人の進路を聞くばっかり。