あのあともメロンパン王子は毎日来ては、メロンパンだけを買っていく。
先輩とわたしの中でも、完全にメロンパン王子で定着していて違和感がない。
架織先輩はメロンパン王子に大胆発言。
「メロンパン、そんなにうちの好きなんですか?」
袋詰めしていたわたしもビックリして、思わず先輩を見てしまった。
メロンパン王子もいきなりの質問に驚いたみたいで、ポーカーフェースが崩れた。
「ここのメロンパン、最近のお気に入りで」
笑いながらそう言ったメロンパン王子。
いつもの“ありがとうございました”が、今日は一段と大きな声で言った気がする。
気付いたことが一つあって、メロンパン王子の自転車のステッカーが百華のと同じ色だった。
百華はわたしの幼なじみで、他校である私立に通ってる。
わたしは女子校の私立だが、百華は共学の私立。スポーツ面でも、進学校としても有名校でメロンパン王子っぽい。
そんな些細なことなのに、メロンパン王子を少し知れた気になった。