もう外は日が沈み始めてた。結構長い間図書館にいたみたい。
「ルイ、龍が妬くなんて珍しいぞ」
呼び捨てにドキッとしたのは、女子校に三年間いたからだ。ちょっとのことでも、気になる。
それにしても、龍くんが妬いてたから不機嫌だったってこと?
輝くんに軍配があがって、電話で抜けたお詫びにジュースを龍くんは買いに行った。
「これからは呼び捨てで呼ぶから、ルイも輝でいいから」
「輝くんじゃなくて、輝ね」
ベンチに座りながら、自動販売機からジュースを抱えてくる龍くんを待つ。
龍くんのリュックを膝の上に乗せて、待ってるわたし。走ってくる龍くんを出迎える。
「これがルイちゃんのね。」
わたしの龍くんのイメージはミルクティーらしい。そして、輝くんはオロナミンC。
「龍くん、ありがとう」
ニコッと微笑み龍くんは、わたしの知ってる誰かに似てる。
「ルイちゃんもリュックありがとね」
何気なく膝に乗せてたリュックを、ひょいと持ち上げていく。
龍くんから貰ったミルクティー。好きな人から貰うものって、なんでも大事に思える。
「ルイってミルクティー好きなの?」
「甘いもの好きだから、ミルクティーも好きだよ」
龍くんが輝を睨んでる。呼び捨てにしてるの聞いたからかな?
「お前、なんで呼び捨てしてるんだよ」
「だって仲良いもん。なんだよ、また妬いてるの?」
賑やかな戦いがまた始まるみたい。ずっとこのまま家に帰りたくない。
「輝も龍も落ち着いてよ」
二人がわたしを目を真ん丸にして見る。知らないうち呼び捨てにしてたんだ。