「来てくれないかな?」


ニコッと笑うメロンパン王子は、チケットを片手に持っている。


バンドを組んでいるらしいメロンパン王子は、ギターケースを担いでるだけあってギターを担当してるみたい。



「予定が無ければ行きますよ。チケットありがとうございます」



手を伸ばしてチケットを受け取ろうとすると、メロンパン王子はチケットをわたしから遠ざける。



「先約が優先じゃないの?」


さっきの笑顔は消えて、意地悪そうな顔がわたしを見る。先約が先なのは分かるけど、優先順位があるじゃない。



メロンパン王子とは最近仲が良くなったし、買いに来ると必ずと言っていいほど話し込む。



いつもはくだらないような話ばかりしてるのに、まさか今日はチケットがもらえるなんて。



「明後日ですか?明後日ならルイは午前中だけのバイトですので、行けると思いますよ」



後ろを振り返ると架織先輩がメロンパン王子に入れ知恵をしてる。


「ちょっと、架織先輩。余計なこと言わないでくださいよ」


「いいじゃん。たまにはライブに行って、気分転換でも」



メロンパン王子は“明後日、ステージから見つけるよ”って言いながらチケットをわたしの手にのせた。