校門まで戻るのを付き添ってくれたのは、龍くんだけ。


輝くんは女の子に囲まれて、いろいろ話し込んでたし百華も部活に戻っちゃった。



「輝も好きって、言えばいいのに素直じゃないよな?」


いきなりのことだったけど、納得した方が大きい。あの態度は見え見え。


「やっぱりそうだったんだ。でも輝くんモテるでしょ?」



「輝さ、ああみえてシャイだから中学生みたいなやりとりずっとしてんの。でも面白いやつだろ?」


さっきから龍くんもたくさんの人から声かけられて、きっと人気者。


わたしは女の子達からイタい視線。他校の生徒が無断で侵入してる上に、人気者といるんだし。


「百華から輝くんのこと一回も聞いたことないよ。なんで言ってくれなかったんだろ」


「だよな。百華からしたら輝なんて、ただの友達なんだよ」


「それは違うと思う。百華は恋人より、部活のことしか考えてない。だから恋愛は考えないように...」


いきなり腕を掴まれて、走り出す。辿り着いたのは、プールの裏。誰もいない。


「先生にバレたらヤバいでしょ?ルイちゃんも僕も。まさか他校生が侵入してるなんてさ」



息が上がって、声が出ない。さっき先生が近くにいたんだ。


「疲れたよね?いきなり走り出してごめん」


“ありがとう”って言いたいのに、声が出なくて龍くんを見て微笑む。


疲れてなんかない。バレるよりだったら、走った方がいい。