「潤ー。また二人にイジメられたのかー。よしよし」
「うぅ、姫っち~…」

姫はそんな坂本を可哀想に思ったか、でも冗談ぽく慰めだした。

坂本なんて、慰めなくていい。

いつものことだ。

ばっ

「「「へ?」」」

私の前を黒い影が横切った。


北野がムスッとした表情で坂本から姫を自分の方へよせたのだ。



「俺以外の男触んな、ばーか」


「━━━ッ」


「あぁ、ごめん…」
「潤も、姫に甘えんな」

そう言って、北野は坂本にも関わらず、ギンっと睨みつけた。

「うんぐ…分かってんよー」
「ふんっ。俺ら先に教室行ってっから。」
「ええ!?あ、あーごめん!愛!先行ってるね?」
「…。」


北野は、付き合い始めよりも、姫を独占することが多くなったと、最近よく思う。


行ってしまった二人は、仲良く手を繋ぎ、校舎へと消えていった。

またイライラする。

この感情は一体なんなんだろう。

わからない。

早く気づかないと…

これ以上、意味もなく姫を嫌いたくない。


「はぁー…」
「まぁだ、来輝のこと、引きずってんの?」
「うっわ!」

さ、坂本…!


「別に。好きじゃないってば。」
「…嘘つき」

本当になんなのだ、坂本は。

鬱陶しい…

いつもチャラけてるくせに、真剣な顔して…

何を考えてるか分からない。

坂本は真剣に私の目をじっと見る。

苦手だ、コイツは。