『いくら頭に血がのぼってて
思ってもいない事を
口走ってしまったのだとしても…
あまりに軽率よ。
頭冷やして出直して。
こまち、送るわ…』
呆然と立ち竦むアタシの背中に
ケイちゃんは、そっと手を添えて
帰ろう…と静かに言った。
応接室を出る。
瞬くんが
壁側に置かれていた脚立から降りて
近づいてきた。
『今日、こまちちゃんと本屋に行ってて…
そのまま、ここまで一緒に来ました』
『そうだったの、ありがとう…
瞬くん、お願いがあるわ…
この子、送って貰っていい?』
『はい、そう思って待ってて…
外、もう暗いし』
『ありがとう。
こまち…わたしも早めに帰るから。
じゃ、瞬くん、お願いね…』
『はい…』
瞬くんは軽く頭を下げ
アタシに『行こう』とささやいた。
ケイちゃんは玄関までアタシ達を見送り
ママのいる応接室に戻っていった。