約束の4時までは、まだ10分くらいある。
広い店内を歩いてすぐに
瞬くんを見つけた。
パソコン雑誌のところで
雑誌をめくってる。
そっと近づいて…
ヒザカックンしてみた。
奈緒が、よくアタシに
このイタズラをするので…
瞬くんの真後ろに立ち
肩に手をのせて押さえつけると同時に
膝小僧で、瞬くんのヒザの裏を押した。
『うわぁ!』
瞬くんは小さく声をあげて
驚いた顔で後ろを振り返った。
『えへへ…』
近くにいた30代位の女性2人連れが
「かわいい」とクスクス笑った。
『こまちちゃん!』
瞬くん顔を赤らめ照れて笑う。
『おまたせっ』
アタシは、清まして微笑んだ。
『なに小学生みたいな事してんのさ
あーもう、びっくりした』
『だって瞬くん
アタシが近づいても気付かないくらい
熱心に本読んでるんだもん』
『普通に近づいて来たら分かるよ。
わざと狙ってたな…』
『ふふっ』
だって…
昨日の事もあって…
普通に会ったら、ドキドキして
まともに顔見る自信がなかったんだもの。