翌週、約束どおり凜と会って、兄貴に迎えを遅くしてもらった俺はこないだと同じようにたくさん話した。
そして、それは腕が治った後も決まりごとのように毎週続いて。
場所は待合席から、凜の病室へ。

ころころと変わる表情、よく動く体に、似つかわしい病院着。

「凜って何の病気なの?」

一言、軽く一言。
その一瞬で凜の顔は曇った。

「…言わなきゃだめ?」

俯いて、目だけ俺を見る。
睨むような鋭い視線に思わず怯んで、無意識に首を横に振る。
ごめんね、と謝るとすぐ笑顔になった。

「…颯太の弾くギター、聴きたいなぁ」

そのまま薄く笑みを浮かべた表情で続ける。

「俺も凜のヴァイオリン聴きたい」

言うと、くすぐったそうに肩を竦めて笑った。
そのうちね、と言って楽しそうに。