満足したような笑顔。
さらさらの金髪。
思い出すのはあのメロディ。
いつか弾いてくれた曲。
弾む音。
飛んだ弓。
震える右手。
移った体温。
見慣れたポーズ。
部屋の隅のヴァイオリン。
あぁそうだ、ギターを聴かせようと思ってたのに。
あやふやな笑顔。
かけがえのない存在。
触れる右手。
俺の手の中で僅かに動いた指。

涙が溢れた。
堪える理由なんてないような気がした。

「あーーー……」

情けなく声を上げて、嗚咽を洩らして。

凜。
凜。

叫ぼうにもうまく声が出なくて、感情のまま泣いた。