何分経ったろう、深く浅く無秩序な呼吸を繰り返し、やっと冷静になれた、気がする。
ぐちゃぐちゃな頭がやけにすっきりして、最後にもう一度大きく息を吸って吐くと、兄貴がまだ居たことに気付いた。

「…兄貴」
「落ち着いたか」
「うん」
「死んだのか」
「…うん」

でもね、兄貴。涙も出ないんだ。
言うと、何か考え込むような顔で頷いた。

「好きだったのか、その子のこと」

いつかと同じ質問だった。

「分からない」

俺は同じように答えた。