「…病院くせぇ」

家に帰って部屋でギターを弾いていたら、兄貴が入ってきた。

「まだ通ってんのか?」
「ん、あのね、凜と話してると楽しいんだよ」
「ふぅん」

兄貴のくゆらすタバコの煙が少し喉に痛い。
軽く咳をしたら兄貴は悪い、と言ってすぐに消した。

「なぁ、颯太。お前好きなのか?その子のこと」
「え?」
「好きなのか、その子」
「え、あと、いや…分からないよ。あはは、楽しいけど」
「やめとけよ」
「ん?」
「惚れてんなら諦めろ。体調、最近良くないんだろ」
「……兄貴?」
「辛いのはお前だろ」
「何が言いたいんだよ」

思わず出た自分の声はわずかに怒りが入ってて、兄貴だけじゃなくて俺も驚いた。

「……別に。何か言いたいわけじゃないさ」

兄貴は苦笑して、俺の頭をぽんと叩いて出ていった。