ノートパソコンを開き、持ち帰りの仕事をしていた俺の目にグレーのスウェットが見えた。



「出た?」



そう言って、目線をパソコンから彼女に移す。


風呂上がりの彼女を見て、俺の胸が“トクン”と小さく跳ねた。


死人のようだった色白の顔は、はほんのりピンク色。


濡れた漆黒の長い髪をタオルで丁寧に拭き取る姿は色っぽく。


そんな彼女に思わず見とれてしまった。


彼女も俺を見てる。


目が合うと、彼女は目を逸らして俯いた。



「お、俺も風呂に入って来ようかな?」



慌てたようにそう言って、ノートパソコンをパタンと閉じた。



「冷たい飲み物が冷蔵庫の中にあるから良かったら勝手に開けて飲んで?」



俺はそう言って、立ち上がるとシャンプーの香りがする彼女の横を通り過ぎ、風呂場へ行った。