「お風呂、沸いたみたいだね。先に入って?この部屋を出て左側にあるドアがお風呂場だから……」



俺がそう言っても立とうとしない彼女。


何でだ?


少し俯いている彼女を見る。


…………あっ。


彼女は荷物らしき物や鞄も何も持っていない。


だから当然、着替えもない。



「ちょっと待ってて?」



俺は彼女にそう言って、襖1枚隔てた隣の部屋に入った。


寝室にしている6畳の和室。


引き出しのついた衣装ケースの引き出しを上から順番に開けていく。


確か、この中に入ってたはず……。