彼女を部屋に上げ、テーブルの前に座らせた。
まだ風呂のお湯は溜まっていない。
とりあえず温かい飲み物でも出して体を温めてもらおう。
俺はキッチンでケトルに水を入れて火にかけた。
キッチンから見える部屋。
正座をした彼女の背中が見える。
彼女は一体どんな理由があって、あんなとこにいたんだろう……。
どうして言葉を発しないんだろう……。
顔も無表情のまま。
何でなんだ……。
不思議な女の子。
まるで感情を無くした人形みたいな……。
そんなことを考えてると“シュンシュン”と、ケトルからお湯が沸いた音が聞こえてきた。
慌てて火を止めて、ココアの粉末が入ったマグカップにお湯を注いだ。