「どうぞ?」
俺は玄関を開けて、彼女に中に入るように促した。
玄関の中に足を踏み入れる彼女。
玄関の中に立った彼女の髪やワンピースからポタポタと雫が落ちてコンクリートの玄関に染み込んでいく。
自分も玄関の中に入りドアを閉める。
満員電車のように窮屈な玄関。
「タオル持って来るから、ここで待ってて?」
彼女は小さく頷いただけで言葉を発しない。
顔も無表情のままだ。
俺は玄関を上がって、すぐ左側にある脱衣所に入り、タオルラックからバスタオルを1枚取った。
ついでに風呂にお湯を入れる。
そして彼女の待つ玄関へ行き、彼女にバスタオルを差し出した。
何も言わず微かに震える手でバスタオルを受け取る彼女。
バスタオルで、ゆっくり水滴を拭き取る。
しばらくして拭き取る手を止めた。
「拭けた?」
俺の問いに彼女は小さく頷いた。