「だから最初は仲良くなかったんだな。えーと、最初の馴れ初めは何だっけ…」

真は眉を寄せながら、うーんとうなる。

てか、馴れ初めって。恋でもしてる仲かっつーの!


まだ首を捻り続ける真に、俺は内心ひっそりと笑う。

俺は、ちゃんと覚えてるのになー。


「お前は覚えてる?」と振られて「さっぱりだな」と返す。

絶対ぇ教えてやんない。そう決め込んだ俺に気付くはずもなく、真は「そっかーお前はダメだなー」とか何やら言ってコクリとうなずいた。

普段なら言い返すが、あえて気にしない事にした。酒が絡んでくるとホント面倒くさい、真は。

俺はテーブルの上のさきいかに手を伸ばしかけたところで、「あっ!」と真が大きく声を上げた。