紙とペンを渡したついでに、蓮くんと奏多くんが座るベッドに腰掛ける。



「山田ってやつが3時で1万5千円」


「はいよ。次は?」


「次は中田ってやつでー‥」



蓮くんが口にする言葉を、メモ取る奏多くん。


そのメモを覗き込んで見ると‥



「字、うま」



物凄く字が綺麗。



「だろ?」



そんな私の言葉に得意気な表情を浮かべる奏多くん。


うん、ホント上手い。



「習字してたの?」


「してないよ。けど、大体女って字上手くない?」



うわ、何その考え。



「りぃ、上手くないよ」


「何か書いてみ♪」


「‥何て書くの?」


「んじゃ俺の名前ー♪」



奏多くんの名前?



「漢字わかんない」


「当てて♪」



んー
どんな字書くんだろ?



「わかんないよー。奏でるって言う字?」


「当たり♪それにー」


「お前じゃわかんないって♪」



そこで蓮くんからのうっざいお言葉。



「わ、わかるもん」


「んじゃ当ててみろよ」



うっざ‥
ぜってぇ当ててやる。



そこで携帯を取り出し変換機能で漢字を出す。



「ね、これっ?」



暫く悩んで“奏多”と言う字を携帯に表示する。



「おーお前にしては凄いじゃん」



くっそムカつくー‥



「お前さっきからうざいし」


「お前のがうざいし」



さっきから蓮とはずっとこんな感じだ。


いつしか呼び方も蓮くんから“蓮”に変わっていた。